SHE CREATES · MEMBER ARTICLE 04SEASONAL TABLE / FOOD CULTURE8+8 BROTHER & SISTER

BODY ALMANAC
SEASONAL TABLE

04

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SEASON IS NOT A PRESCRIPTION

Season
is not a
prescription.

旬は、万能薬ではない

旬を食べることは、効能をそのまま身体に取り込むことではありません。土地の時間と、今日の自分を一つの皿の上で調整することです。

ウジェーヌ・グラッセによる菊の装飾植物図
CHRYSANTHÈME / Eugène Grasset, 1896 · Public Domain

梨、蓮根、きのこ、さつまいも。店先が秋色になると、身体まで正しい方向へ戻れるような気がします。旬の食材には、味の濃さ、手に取りやすい価格、土地の記憶があります。だから旬を大切にすること自体を、疑う必要はありません。

ただし「旬だから身体にいい」という言葉は、便利すぎます。食べものには季節がありますが、食べる人には病歴、服薬、腸の状態、仕事、家計、好みがあります。季節の食卓を処方箋に変えた瞬間、そこから人が消えてしまいます。

Season is context.旬は、成分ではなく背景である。

旬とは、本来、ある土地で食材がよく出回り、味や価格が整いやすい時期を指します。けれども現代の食卓には、ハウス栽培、冷蔵、冷凍、輸送、輸入など、さまざまな条件が関わっています。同じ「秋の梨」でも、品種、収穫時期、追熟、保存日数、切り方まで違います。食品成分表の数字は便利ですが、目の前の一個をすべて説明できるわけではありません。

栄養価は収穫の季節だけで決まらず、土壌、日照、品種、成熟度、保存、加熱でも動きます。そして食べる側の吸収や代謝でも変わります。「旬なら栄養価が最大」という一文へまとめるより、味がよく、買いやすく、無理なく料理できるという生活上の価値まで含めたほうが、旬の本当の強さが見えます。

PLACE土地と気候
VARIETY品種と成熟
KITCHEN保存と調理
BODY体調と服薬
梨の枝、果実、断面を描いた植物図
A pear is not
one number.
同じ梨でも品種、熟度、量で食後の感じは変わります。Wellcome Collection · CC BY 4.0

Healthy food can still be the wrong food today.よい食材でも、今日の身体に合うとは限らない。

たとえば梨は水分が多く食べやすい果物ですが、フルクトースやソルビトールを多く含み、過敏性腸症候群の人では、量によって腹部膨満や下痢のきっかけになることがあります。きのこや玉ねぎ、豆類も、「身体にいい」の一言ではまとめられません。低FODMAP食は、特定の食品をずっと避け続けるための食事法ではなく、専門家の支援のもとで除去、再導入、個別化を進める方法です。

腎機能が低下し、血中カリウムが高い人には、果物や芋、野菜の量や調理法について個別の指示が出ることがあります。一般には野菜を増やすことが勧められても、検査値や治療段階によって調整が必要です。同じ人でも、病状が変われば食べ方は変わります。

ワルファリンを服用している人も、緑黄色野菜をすべて避ける必要はありません。大切なのは、ビタミンKを含む食品の摂取量を急に大きく変えず、医療者と相談しながら一定に保つことです。「健康のため」と青汁や葉物を急に増やすことが、薬の効き方を変える場合があります。

MANIAC MARGIN 01THE DOSE IS PART OF THE FOOD.
食材名だけでは反応を予測できません。量、頻度、空腹時か、ほかに何を食べたか、加熱や発酵をしたかまでが「その食べもの」です。一口で平気でも一皿ではつらい、ということは矛盾ではありません。

Cooking is a form of care.調理は、食材と身体のあいだの翻訳である。

生の野菜が重い日は、煮る。繊維がつらい日は、細かく刻む。食欲が落ちている日は、香りを立て、少量にする。腎疾患の一部では、野菜を茹でてカリウムを減らす調理法が案内されることもあります。調理は栄養を「壊す」だけの工程ではなく、食べられる形へ変える技術です。

食養生の言葉は、食べものを単独の薬として扱うより、季節の変化に合わせて火、水、時間を調整する知恵として読むと生き返ります。冷たいものを避ける、温かい汁物にする、といった工夫も、絶対的な体質論ではなく、その日の気温や活動量、消化の具合に合うかを確かめる、小さな手がかりとして使えます。

食材を正解にしない。
食べたあとの身体を、答え合わせに使う。

Culture also nourishes us.栄養は、成分だけでできていない。

秋に母が炊く栗ごはんには、炭水化物や食物繊維だけでは測れないものがあります。香りで季節を知ること、同じ鍋を分けること、去年の食卓を思い出すこと。食文化は、それだけで病気を治すものではありませんが、人が食べ続ける理由を支えます。

逆に、身体によいと聞いた高価な食材を買うために家計が苦しくなったり、食べられない自分を責めたりするなら、その養生は暮らしを痩せさせています。冷凍野菜、缶詰、総菜にも役割があります。忙しい日にきちんと食べることは、産地や季節を完璧にそろえることより大切な場合があります。

Make a table, not a rule.食卓をつくる。規則を増やさない。

旬の食材を見つけたら、効能を検索する前に三つだけ考えてみます。今の自分は食べたいか。どう調理すれば無理なく食べられるか。明日も続けられる価格か。それから、服薬や疾患で注意が必要なら、専門家に確認します。

A seasonal table check.

  • 「身体にいい」ではなく、誰に何がよいのかを言えますか。
  • 食後の張り、痛み、便通、眠気を量と一緒に見ましたか。
  • 薬や検査値に関わる食材を急に増減していませんか。
  • 生食、加熱、発酵、刻み方を変える余地はありますか。
  • 家計と手間に無理なく、また食べたいと思えますか。

旬は命令ではありません。季節から届く提案です。受け取る日も、見送る日もある。その自由を残しておくと、養生はもっと長く暮らしのそばにいられます。

今日の身体に耳を澄ましながら、
季節と同じ皿を囲む。

Source
desk.

旬を一律の効能として語らないために、服薬、腎機能、IBS、個別化された食事に関する資料を確認しました。

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Before a plant
became a remedy.

葉、根、種、精油、抽出物。同じ植物でも、部位と濃度が変われば、安全性も変わります。

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