データになる前の野原
データは、世界そのものではない。
現実の一部を、決められた方法で観察し、数えたり、言葉へ置き換えたりした記録である。表やグラフになる前には、何を調べるか決めた人と、実際に起きていた出来事がある。
BEFORE数字になる前に選ばれている
雨量計は、降った雨の量を測る。しかし、雨で店へ行けなかった人の困りごとや、散歩へ行けなかった犬の退屈までは記録しない。
市場統計は価格を残す。しかし、その値段を見て売り場で商品を棚へ戻した人のためらいは、数字の外へ落ちることがある。
どちらのデータも間違いではない。測ろうと決めたものを測っている。ただし、測っていないものまで「存在しなかった」と考えると、現実を見誤る。
WHO誰が記録したのか
調査では、質問の作り方、話を聞く相手、場所、時間によって集まる答えが変わる。
質問へ答えなかった人もいる。言葉にできなかった経験もある。調査者が重要ではないと判断して、記録しなかった出来事もある。
「誰が、どこで、どの方法で集めたか」を確かめるのは、数字を疑って捨てるためではない。その数字が、何を説明できるのかを正しく知るためである。
AI記録されなかったものは探せない
AIは、大量の記録から共通点や関係を探すことができる。
しかし、最初から記録されなかったものは検索できない。分類の外へ落ちた経験は、滑らかな回答の中でも見えないままになる。だから、答えだけでなく、その答えが使った資料の範囲を見る必要がある。
TRY三つの質問を添える
表、グラフ、ランキングを見たら、次の三つを添えてみる。
- 何を数えた?
- 誰から集めた?
- 数えられなかったものは?
数字の手前へ戻ると、データが弱くなるのではない。どこまで信頼して使えるかが、前よりよく見える。
FIELD KIT観察の小さな装備
- 日付と場所を書く
- 予想と違ったことを残す
- 空欄を、無かったことにしない
SYNAPSESつながる窓
- KNOWLEDGE:観察、記録、分類
- EARTH:気候、生態、測定
- HUMAN:聞く者と語る者